|
|
宅地造成工事は、請負工事に当たります。民法は仕事の完成までに発生した事由については、全て請負人の負担として定めています。従って完成前に地震で擁壁が動いた件は、民法上は請負人が自分の費用で完全なものにしなければなりません。しかし、契約で、この場合の費用の負担について定めているなら、契約が優先するので契約の定めに従わなければなりません。
次に造成土地につき、既に売買が成立していて、当該契約の買主が地震による困窮を理由に売買契約を解除したいといっている場合、買主のあげる理由は、契約解除事由ではありませんから、契約解除に応じなくともよいのが原則です。しかし、代金の支払いをめぐり障害が予想されるのですから、損害賠償額について話し合い、解約に応ずるのが妥当でしょう。(弁護士)
|
|
|
|
|
|
宅地造成された土地を購入して家を建てたところ、地震で家が傾いてしまいました。土地の売主に責任追及できますか。 |
|
|
|
|
|
瑕疵担保責任(民法570条)を追及できる可能性があります。 裁判例(仙台地裁平成4年4月8日判決)では、その地盤の耐震性の点からの瑕疵の存否は、従来発生した地震の回数頻度、規模、程度のほか時代ごとに法令上要求される地上、地下構築物の所在場所、地質、地形、強度などの諸要素を考慮し、一般常識的見地から少なくとも震度5程度の地震に対しての安全性の有無を基準として判断するのが相当である、とされています。
従って、上記に該当するようなケースであれば瑕疵担保責任を追及できると考えられます。
もっとも2017年5月26日に成立した改正民法では瑕疵担保責任に関する規定も大きく変わります。改正民法は2020年4月1日から施行されますが、本問のような場合には契約時の法律すなわち改正前の民法が適用されます。
また、売主だけでなく、設計した建築士その他売主以外の責任を問える場合もあります。(弁護士)
|
|
|
|
|
|
隣地との境界線上に建てたブロック塀が地震のために倒れました。その修理費用はどのように分担したらよいのでしょうか。 |
|
|
|
|
|
倒れたブロック塀が誰の所有かと言うことで決まります。隣地と共同で建てたのであれば修理費用も折半であり、個人で建てた場合は個人で修理費を出さなければなりません。どちらにしても話し合いにより解決した方がよいでしょう。(弁護士) |
|
|
|
|
|
地震のために近隣の土地を含めて土地が移動しました。境界をはっきりさせたいのですがどうしたらよいでしょうか。 |
|
|
|
|
|
私法上の境界であれば、先ずは、隣地の所有者と話し合いをし、必要に応じて双方立ち会いのもとで測量をし、双方が納得して新しい境界線を決めていくことができます。話し合いがつかない場合には、調停の申立をして、調停手続において話し合いをしていくことも考えられます。調停で和解が成立しなかった場合には、訴訟を提起することになります。この場合には、所有権確認の訴えと境界確定の訴えを併せて形で提起することもあります。
公法上の境界について争いが生じた場合、当事者間の話し合いでは解決できません。この場合には、境界確定訴訟を提起する必要があります。 なお、公法上の境界について、平成17年に不動産登記法の一部を改正し「筆界特定制度」ができました。境界確定訴訟に比べて簡易迅速な解決が可能となりました。(土地家屋調査士)
|
|
|
|
|
|
住宅地で液状化が発生して自宅の木造住宅が傾いてしまった。この土地に住み続けることは出来ますか? |
|
|
|
|
|
海浜地区などの地下水位の高い緩い砂地盤では、地震などの震動により砂が液状化し、住宅や擁壁等に沈下や傾斜を生じることがあります。一度液状化を生じた地盤は、強い地震が発生する度に繰り返し液状化が生じる危険性があります。そのため、住宅の沈下や傾斜を修繕しても、再び同様の被害を受ける可能性があります。地盤の専門家に相談して、適切な液状化対策を講じることが望ましいです。また、液状化が懸念される地盤が広域的に広がっている場合には、地域全体としての液状化対策が必要な場合もあります。この様な場合には、自治会での検討や行政に相談することも必要になります。(技術士) |
|
|
|
|
|
液状化対策にはどの様な方法がありますか? |
|
|
|
|
|
液状化対策を検討する場合、まず適切な方法で地盤調査を行い、液状化し易い地層(液状化層)の深さや液状化のし易さ等を把握します。その上で、地盤の特性に応じた適切な対策を検討します。一般的に対策工法として、ビルや家を基礎杭で支持する方法が確実です。しかし、支持層が深い場合には工費が過大となります。その他に、液状化時の水圧を逃がすためのドレーンパイプ設置、セメント等により液状化層を固める、宅地を矢板などで囲って液状化層への周囲からの水の供給を遮断する、等の方法があります。地盤の専門家に相談して適切な対策を検討するのが良いでしょう。但し、広域的な液状化対策が検討される場合もありますので、二重に対策を検討することがないよう、事前に自治会や行政に相談することが必要です。(技術士) |
|
|
|
|
|
傾斜地の宅地に住んでいるが、地震により自宅の敷地周囲のブロック積み擁壁に大きなき裂や傾きが発生した。このまま住み続けて大丈夫ですか? |
|
|
|
|
|
地震によりブロック積み擁壁が被害を受ける場合、大きく分けて、@ブロック積み擁壁自身が揺すぶられて損傷を受けた場合と、A地盤が変状したために擁壁にひび割れや傾斜が生じる場合の2通りがあります。@のように、宅地地盤には変状がなく、石積だけが被害を受けた場合には、石積を適切に補強あるいは再建することが可能です。一方、Aのように、地盤の変状に伴って、石積擁壁に変形等が生じた場合には、宅地地盤全体の安全性が不足している可能性があります。余震などによる被害の拡大が懸念されますので、専門家に相談して、擁壁および宅地地盤全体の安定性について、調査・確認する必要があります。(技術士) |
|
|
|
|
|
地震に対する宅地地盤の危険度を簡易に判定する方法はありますか? |
|
|
|
|
|
宅地地盤の危険度を簡易に判定する方法として、日本技術士会のホームページに、地震時の「地盤危険度チェックリスト」が公開されています。
このチェックリストでは、宅地地盤について以下のチェックが行えます。
- 埋立地や盛土の由来や、液状化し易い地盤であるか等により、宅地の全般的な危険度をチェックする。
- 宅地に接する擁壁・のり面、付帯排水設備の状況から宅地の危険度をチェックする。
- 宅地周辺の概ね高さ5m以上の斜面の、地震に対する危険度をチェックする。
チェックの結果、地震に対する宅地地盤の危険性が高いと判断された場合には、地盤の専門家に相談して下さい。(技術士)
|
|
|
|
|
|
斜面災害に関する法律にはどのようなものがありますか? |
|
|
|
|
|
斜面災害に関係する法律としては「急傾斜地法」と「土砂災害防止法」があります。
急傾斜地法は、@傾斜角30度以上、A斜面高5m以上、B人家が5戸以上の場所や公共施設の場所を「急傾斜崩壊危険区域」や、建築基準法第39条で定められる「災害危険区域」に指定し、崩壊を誘発する危険行為や建築物の構造規制等の措置をとり、万一斜面が崩れても被害を最小限に抑えるものです。
土砂災害防止法では、土砂災害が人家に影響を及ぼす恐れのある区域を調査して、「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」を行政が指定し、警戒避難態勢の整備、建築制限事項などを定めています。このような区域は、行政が作成した防災マップやハザードマップで確認できます。(技術士)
|
|
|
|
|
|
住宅地の擁壁にひび割れや傾斜などが生じていて心配です。擁壁の健全度を簡易に診断する方法はありますか? |
|
|
|
|
|
宅地擁壁の老朽化による危険度を判定する方法として、国土交通省が作成した宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)が公開されています。
このマニュアルは、目視に基づく点数法によるもので、擁壁の状態がイラストなどで分かりやすく解説され、その中から選んだ状態に応じて点数を付けていきます。最後に点数に応じて、擁壁の健全度を評価する方法です。直感的で分かり易く、一般の方でも簡単に擁壁の診断ができる方法です。ただし、対象は老朽化により劣化した擁壁ですので、地震等により変状が生じた擁壁や、変状が大きいために崩壊が心配されるような擁壁については、すぐに行政や専門家に相談して下さい。
その他、自治体によっては、上記の国土交通省の判定マニュアルをベースにして、より簡易に判定できるチェックシートを公開しています。(技術士)
|