災害時に役立つQ&A

土地、建物、借家・借地

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質問   地震の後、家に戻って住みたいと思っていますが、電気ガス水道などは、そのまま使っても大丈夫ですか。
   
答え   電気、ガス(含プロパンガス)は地震の際損傷し、漏電やガス漏れ等の危険性がありますので、使用前(復旧前)に次のような注意が必要です。

◎電気の復旧の注意点

自分の家だけが停電の場合と、周辺地域全体が停電した場合に分けて説明します。

・自分の家だけが停電している場合

漏電遮断機などが切れている場合は次の手順で復旧します。
  • 全ての電気機器のプラグをコンセントから抜きます。
  • 漏電遮断機及び安全ブレーカーを全て「切」にします。
  • 漏電遮断機の横の漏電表示ボタン(白色や黄色のボタン)が飛び出しているので押し込みます。
  • 漏電遮断機のレバーを上げて「入」に戻します。
    ※この時、電気メータが動いているか、漏電遮断機が落ちる場合は、漏電の可能性が高いので電気会社へ連絡して下さい。
  • 安全ブレーカーを順番に1カ所ずつ「入」にします。
    その際、漏電遮断機が落ちる場合は、その回路もしくは回路に接続している電気機器が漏電しているので、電力会社や電気工事店に連絡して下さい。

・住まいの周り一帯が停電している場合

  • 復旧時の漏電や発火を防止するため、漏電遮断機を落とし、全てのコンセントからプラグを抜きます。
  • 全てのガスのスイッチを閉めて、併せて元栓も閉めます。
  • 近隣の方と状況を確認し合い、代表者から電力会社、電気設備保守センター等に連絡します。

◎ガスの復旧の注意点

  • 住まいの中がガス臭い場合は、ガスメーターのメインバルブを閉めて、屋外に避難し、ガス事業者へ連絡します。
  • 住まい周辺がガス臭い場合は、窓を開けないようにします。匂いがひどい場合は避難します。
  • いずれの場合も、爆発事故を防止するために、電気をつけない、電気のスイッチを入れない、換気扇を使用しない。火を使わない等の注意が必要です。(技術士)
   
質問   大きな地震が起きた場合には、電気、ガス、水道などのライフライン復旧にどのくらい掛かるでしょうか?また、どんな備えが必要でしょうか?
   
答え   阪神・淡路大震災の時、ライフラインが復旧するまでの日数は、電気(7日) ・都市ガス(84日)・水道(90日)で、電気は比較的早く復旧すると言われています。熊本地震では、電気は1週間、水道は1週間で大きく改善後は緩やかに改善、ガスは2週間で復旧しました。
 水道は復旧に時間が掛かる場合が多いので、大地震へ備えるのであれば、飲料水は一週間分以上の準備が必要です。
 下水道については、管路や下水処理場が被害を受けると、復旧に長い期間がかかりますので、災害時のトイレ対策が大切です。災害用便袋や簡易トイレ、野外トイレ設置用のスコップなどを準備すると良いでしょう。
 ガスの復旧も、個別の安全確認が必要なため時間が掛かります。代替えの電気料理機やガスコンロ・ガスボンベを備蓄しておいた方がよいでしょう。(→地震に対する備え参照)(技術士)
   
質問 震災後、建物の調査が行われ、建物には、赤紙(危険)、黄紙(要注意)、緑紙(調査済み)が貼られました。赤紙、黄紙が貼られて建物は、もう住めないのでしょうか? また緑紙が貼られた建物は、住んでも大丈夫なのでしょうか?
また、早く補修するか建替えたいのですが、補修費、解体費、建設費などについて公的に援助してもらう制度はありますか?
   
答え   震災後、直ぐに行われる建物調査の応急危険度判定は、大地震により被災した建築物を、早急に調査し、その後の余震などによる倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することです。人命にかかわる二次災害を防止することを目的としています。その調査の結果(赤紙、黄紙、緑紙)を見やすい場所に貼付表示し、居住者はもとより、その付近を通行する歩行者等に、その情報を提供するものです。
 紙の色で、住める、住めないの判断や被災建物の補助金等を判定(罹災証明書等)するものではありません。
 応急危険度判定は、外観からの調査のみで判定します。内部や小屋裏、床下の調査は、別途、専門家の調査となります。
 被災の程度にもよりますが、赤紙(危険)が貼られた場合、そのまま住むことは危険であっても、補強・改修等を行えば、住める可能もあると考えられます。また、緑紙(調査済み)であっても、念のため、お住みになる前に、専門家(建築士)に見てもらい、ご相談下さい。黄紙も、上記のように、行って下さい。(建築士)
 阪神大震災をきっかけに、1998年、被災者生活再建支援法が制定されました。その後、2004年と2007年に改正され、住宅の解体撤去費や住宅ローンの利子、住宅の建設や購入、住宅の補修にかかる費用も支給対象になりました。申請は市区町村が窓口になりますので、補助金の具体的な内容・手続きは県や市区町 村に問い合わせしてください。なお、補助金の給付を受ける場合は、市区町村の罹災証明が必要となります。また、現状の確認も必要となりますので、解体撤去をする前に市区町村の担当課に確認して下さい。(弁護士)
   
質問 罹災証明書とはどのようなものですか、また、どうすれば発行されますか。
   
答え   罹災証明書は被災者からの申請に基づき市町村が家屋などの被害程度を証明するもので、内閣府が定める判定基準にしたがって「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部破損」などに区分して判定、発行するものです。
 この罹災証明書は、公的な支援や各種減免、義援金の配付、保険などの申告、建物の滅失登記などの手続きに用いられる大変重要なものです。
 各自治体に相談して下さい。(不動産鑑定士)
   
質問   震災を機に住宅を建て直そうと考えていますが、土地建物が亡き父名義のままです。このまま建物を建て直しが出来ますか。
   
答え   新しい建物の表題登記を行うにあたり、旧建物の滅失登記をしなければなりません。旧建物の所有名義が亡き父のままですので相続人より申請しなければなりません。相続人の一人より申請できますので相続の証明書類を添付して滅失登記を行って下さい。
 尚、土地につきましては、建物の建て直しにあたり直接影響がないケースもございますが金融機関から融資を受ける際や、将来的に売却する際には相続人名義への相続登記が必要となりますので、早めに相続登記されることを強くお勧めいたします。
 相続登記手続は、放置してしまいますと、関係当事者が増え、手続きが困難となってしまうケースがあります。具体的手続きにつきましては、法務局または、司法書士会へお問合せ下さい。(司法書士)
   
質問   建物被害について、自治体の認定と保険会社の認定とではどの様な違いがあるのでしょうか。
   
答え   自治体の場合は、内閣府により指針が定められており、主要構造部、基礎、設備、建具等の被害認定(全壊・大規模半壊・半壊・半壊に至らない)を行い、これに応じた罹災証明書を発行され、被災者生活再建支援金が支払われることになります。
 一方、保険会社の場合(地震保険の始期日が2017年1月以降)は、主要構造部の損害認定(全損・大半損・小半損・一部損)を行い、保険金が支払われることになります。
 したがって、建物被害の認定箇所が、「自治体=主要構造部、基礎、設備、建具等」、「保険会社=主要構造部」と異なっていることから、同一レベルの判断になるとは限りません。(不動産鑑定士)
   
質問   震災による火災の延焼で自宅が全焼しましたが、火災保険で補償されないでしょうか
   
答え   火災保険は通常の火災を前提にしており、地震による火災は延焼による火災も含め、補償の対象外とされています。従って、地震災害保険の特約をしていなければ、地震による火災の延焼で全焼したご自宅は補償されないことになります。(弁護士)
   
質問   建物が半壊しましたが、担保を設定されています。建物を取り壊してしまっても問題はありませんか。
   
答え   建物が滅失すれば、その上に設定された権利は消滅するのが原則です。従って、建物の半壊によって滅失したと判断されれば、設定された担保は消滅します。半壊では滅失しないと判断された場合には、設定された担保は消滅しませんので、担保権者の承諾なしに半壊した建物を収去することはできません。収去すれば犯罪(建造物損壊)になります。
 なお建物が滅失したと判断される場合であっても、建物所有者に支払われる保険金に対して抵当権の効力が及ぶ場合もありますのでご注意ください。(弁護士)
   
質問   中古住宅購入契約締結直後に地震に遭遇し建物が損壊しました。契約時に内金を支払っていますが、残金の支払いを求められています。支払わなければならないのでしょうか。
   
答え   民法534条1項は、特定物に関する物権の設定または移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責に帰することができない事由によって滅失し、又は損壊したときは、その滅失または損傷は債権者の負担に帰する、と定めています。従って、建物の損壊が売主の責任と認められない限りこの規定によって残金を支払わなければならないことになります(2020年4月1日から施行される改正民法ではこの点が大きく変わり、施行日以後の契約については上記のような場合には残金を支払わなくてもよくなります。)。もっとも一般にはこのような場合に残代金を支払うべきか否かについて契約条項で定めておくことが多いと思われますので、契約書の内容をよく確認しましょう。(弁護士)
   
質問   突然訪問した業者が老父に床下工事の契約をさせて工事を行っていきました。どうしたらよいでしょうか。
   
答え   特定商取引法によって、8日以内であれば無条件で解約することができます。業者から老父が書面の交付を受けていなかったり、書面の交付を受けていても記載事項に不備があれば8日間が過ぎても解約することができます。
 また、業者が契約するにあたり、工事の必要性など重要事項について不実の告知をしていれば、6ヶ月間契約の取消ができます。
 尚、業者のセールス方法に虚偽の告知、欺罔などがあれば、詐欺による取消や不法行為に基づく損害賠償請求も可能になるでしょう。(弁護士)
   
質問   区分所有マンション(分譲型)の1階に住んでいるが、震災によって床下が陥没しました。床下(共用部分)の工事の為に部屋の床(専有部分)を取り外さざるを得ないと言うので、床を取り外しましたが、この場合、費用の負担は、区分所有者負担となるのでしょうか。管理組合負担となるのでしょうか。
   
答え   専有部分の工事費用は区分所有者負担が原則ですが、この場合は、床下(共用部分)の工事のために、床(専有部分)を取り外したものですので、工事費用は管理組合の負担になります。(司法書士)
   
質問   地震等でマンションが損壊して住むことが出来なくなってしまったのですがどうすれば良いのでしょうか?
   
答え   滅失した部分の割合によっては、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができますが(建物の区分所有等に関する法律61条)、費用や要件等について定めがありますので専門家にご相談ください。
 また、区分所有者の5分の4以上の多数で建て替えをすることもでき(同法62条)、建て替えに参加しない区分所有者に対しては、区分所有権および敷地利用権を売り渡すべきことを請求出来ます(同法63条4項)。
 さらに、大規模な災害により重大な被害を受けた場合には、5分の4以上の多数により建物を取り壊したり(改正後の被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、「改正被災マンション法」11条)、建物をその敷地とともに売却することができるほか(同法9条)、大規模な災害により滅失したマンションの敷地について、5分の4以上の多数により敷地に区分所有建物を再建したり(同法4条)、敷地を売却することもできます(同法5条)。(弁護士)